悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「可愛い反応をする。俺がお前を本気で欲っしていると、ここで、今すぐ分からせてやってもいいんだがな」

それって、未婚だとアウトなやつなのでは。

ゲームで一番盛んで積極的に溺愛しまくる〝攻めの溺愛の攻略キャラ〟だったのを思い出し、アメリアは「ひぃえぇ」と震え上がった。

と、そこで扉が開かれた。

「仲睦まじいようで何よりです」

その声を聞いて、アメリアは赤くなった顔をパッと向けた。入室してきたクラークが、廊下の人目を考えていったん扉を締め直す。

「なっ、く、くくくクラーク様いつからっ」

「警備兵に教えられて、ご褒美のくだりで来ました。婚約者同士しばらくはという配慮で、外の者に聞かれないよう扉の前で待ってましたが、それが何か?」

何か、じゃなくて、それって全部聞こえてたっていうことですよね!?

アメリアは羞恥心で真っ赤になった。妙なことを口走ったりしていなかっただろうかと、急ぎ記憶を辿ってしまう。

見られてもエリオットは平然としていた。当然の権利のようにアメリアを抱き直して、少し乱れてしまった彼女の襟元を片手で直す。

その時、クラークが、「あ」と思い出したようにアメリアに続けた。

「ちなみに、私はあなたが王弟妃としての教育が始まったら、正式にその護衛になることが決まりました」

「なんでそんなことになっているんですか!?」

というか、ミッシェル様じゃないの!?

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