悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
そもそも自分はいずれ婚約破棄されるのにと、アメリアは彼の未来を思って心配にもなった。けれどクラークは満足気だ。

「うまくいけば、王族の護衛部隊の指揮まで任せてもらえそうです」

するとエリオットが、「ほぉ」と、こちらも満足そうに応えた。

「意外と早かったな。もう少し決定までかかると思っていたぞ」

「殿下のお力添えのおかげです」

男達の間で、勝手に話が進行している。

――ミッシェル様が王妃になったら、一番そばで守れるような感じにでもなっているのかしら?

アメリアは、いつの間にか仲がいい二人を不思議に思った。ただ、いつまでもエリオットが離さないままでいるせいで胸の中は落ち着かない。

恥ずかしい。先程から鳴りっぱなしの胸のドキドキを、恋だと錯覚してしまう前に腕を解いて欲しい。

これは一時のことなのだ。現在のエリオットをどうにかするために、ゲームヒロインとの出会いをリベンジしたいが、何よりも〝推し優先〟だ。

まずは、ミッシェルの件に集中することを決めた。



◆§◆§◆



その日以降、ミッシェルの慈善活動に付き合う日々が始まった。

アメリアの気掛かりは、妹を溺愛している兄のロバートだったのだが、「自分の方をもっと構って!」という駄々をこねてくることはなかった。

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