悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「すまない、アメリア。君に侍女のようなことをさせてしまって」

「いいえっ、とんでもないです! 私がやりたいだけですからお気になさらず! まるでミッシェル様だけの侍女になれたようで、光栄です!」

にっこにことしてアメリアは答えた。

それを、クラークが言おうか言わないでおこうかと考える目で見た。先程彼へ向けたものと同じ眼差しを、公爵家の護衛騎士達が揃って向けていた。

その後も、ミッシェルの頑張りは続いた。

慈善活動だけでなく、これまで間接的に助言をしていた政治施設へも訪れた。

彼女は国内で数少ない博士号を持つ令嬢だったようで、以前あった伝染病での改善に貢献した学会機関も、その訪問を歓迎した。

「ミッシェル嬢、こうしてお会いできて、直にお話できること嬉しく思います」

「いえ、わたしくの方こそ、現地で学に触れられて光栄です」

ミッシェルは、博士、医師、そして学者達の話をとても嬉しそうに聞いていた。とくに医療や衛生、国内政策と食料問題については熱心だった。

実のところ、療養期間中に父や陛下達から話を聞いて、気にかけていた分野であったらしい。結婚はせず、その方面で国に貢献しようと思っていたのだとか。

「その学んできたことが、どんな形であれ、殿下達の助けになれるのなら嬉しい」

――たとえ、もし、この告白がだめになってしまったとしても。

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