悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「私も〝友達〟でいいのかな」

「もちろんですよ! 友達三人で外に行くとか、わくわくしませんか?」

「ふふっ、うん。するね。とてもわくわくするよ」

「ミッシェル様、ご安心ください。現地に着いたら、コレの緊張感はしっかり戻させますから」

「私って『コレ』扱いなの!?」

ぎゃーぎゃー騒ぎながらも、笑い声も絶えず起こった。のびのびとした会話を、こっそり耳にしている御者の表情も朗らかだ。

現場に到着すると、クラークがエスコートしてミッシェルの下車を手伝った。アメリアが小さな荷物を持って、彼のエスコートも待たずに元気よく降りる。

「お前……」

「え? なんですか?」

アメリアは、きょとんとしてクラークを見た。伯爵令嬢なのではと育ちに疑問を覚えた彼は、風変りな伯爵令息ロバートを思い出して尋ねるのをやめる。

本日もいい天気だった。日差しに手をかざしたミッシェルが、「ほぅ」っと肩から力を抜くような吐息をもらした。

「まるで夢のようだ。こうして、友人と外で頑張っているだなんて」

感じ入るようにミッシェルが呟いている。

アメリアとクラークは、もう色々と感激の叫びが出そうになった。しかし、さすがは同志。咄嗟の判断で、互いの口を押さえ合っていた。



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