悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「えっ! 結婚って、つまり婚約しているの!?」

「はい。あの二人は婚約者同士ですよ。先月だったか、先々月だったかに教会視察で知り合ったそうです。彼は結婚後に新婚旅行で長期休暇を取られるため、急きょ、代わりに来週から私が殿下のサポートに入ります」

アメリアは驚きすぎて、彼の後半の言葉に反応できないでいた。

思い出したのは、本来であれば王宮にいないはずのエリオットと、予想外に会った時のことだ。

――あの時かっ!

すっかり忘れていたが、エリオットは教会の視察に行かなかったのだ。その代役になったのが、ワンコ系攻略キャラのヒューゴ・ケインズだったのだろう。

「も、もしかしてヒューゴ様は、視察の後からよく王宮を抜け出したり、教会に立ち寄れそうな仕事を進んで引き受けたりしては、何度も彼女に会いに行ったりしていたのでは……?」

「よく分かりましたね。それほど惚れたみたいで、互いに仕事の合間に会ったりしていたみたいですよ」

それっ、本来ならメインヒーローがするはずだったやつ!

アメリアは、ようやく理解して頭を抱えた。どうりで、ゲームと違ってエリオットから何度も手紙は来るわ、しょっちゅう王宮で会ったりしていたわけだ。

すると、クラークから続けて気になる内容が聞こえてきた。

< 218 / 230 >

この作品をシェア

pagetop