悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
「アメリア、これまでも少なからずアピールしてきたつもりだったが、まだ実感していないらしいな。それなら、教えてやろう」

「へ? な、何を?」

「俺が、お前だけが好きであるということを、だ。それをここで見ている者を証人にして、ついでに周りの者共に見せつけてやる」

「えっ」

体の向きを変えられて抱き締め直されたか思ったら、深く頭を抱き込まれて口付けられていた。

キスをされていると自覚した直後、教えるように蕩けそうなほど甘く、何度も唇を重ね直された。息継ぎをさせながらキスは深くなっていく。

「んっ……ゃだエリオット、ンン」

服を掴んで押し返そうとしたら、もっと迫られて口内まで深く彼を許してしまっていた。逃げる舌を絡め取られるアメリアは、逆らえない。

だって、とても〝甘い〟と感じてしまうほどに優しかったから。

「ようやく俺の名前を呼んだな、アメリア」

キスの合間に、ふっと彼が色気たっぷりに囁く。

でもアメリアは余裕がなかった。二度目の大人のキスは、甘くて、ぼうっとなってくらくらするほどで――気づけば、彼の服をぎゅっと握って身を委ねていた。

エリオットがは、アメリアの初心な舌ごと、唾液をちゅくりとかき交ぜて優しく愛撫する。

気づいた近くの者達の大注目の中、ようやく二人の唇が離れた。

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