悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~
二章 ゲームから変わり始めるストーリー
先日に見た、会話が途切れた際の僅かな憂い。
アメリアは、それが少し気になって注意深く観察してみた。そうしたところ、ミッシェルには何かしら悩みがありそうだと気づいた。
彼女はたびたび、気掛かりでもあるみたいに黙り込んだり、ぼーっと風景を見ていたりする。
こうして王宮に通っていることに、何か他の理由があったりするのだろうか。それとも、自信がないということ以外に、こうして人の目の少ないところで静かにしているご事情が、何かあったりするのだろうか?
考えてみれば、よく見ていた彼女の憂いを帯びた神秘的な表情。あれは何かをじっと考えて、憂い、悩んでいたところもあるのではないだろうか?
アメリアは、推しであるミッシェルには幸せでいて欲しかった。
今だって彼女には、いっぱいの幸せや喜びをもらっている。彼女の、役に立ちたい。
「どうしたらいいと思います?」
「その前に、どうしてお前はここにいるのです?」
ここは、近衛騎士隊のサロンである。
現在、若干ざわついていた。女性などいない騎士だらけの中、アメリアは平気で入ってきて、ソファにいたクラークの隣に腰を下ろして語り聞かせていた。
「だって、何か緊急があればここに、とおっしゃっていたじゃないですか」