月

ボワンと街灯の明かりが灯った。
もう夜だという合図だ。
まだ少し明るい空には薄黄色の半月がある。
昼間、雲一つない空にみた月よりもより一層存在感が増している。
光らずとも存在感を出せる月。
昼間でも太陽の陰から覗いている月。
堂々とそこに存在している様子は、
私を悩ませた。
太陽は、自分のタイミングで私達を照らしてくれる。
必要以上に照らし、私達の黒い影を浮かび上がらせる。
月は、月はなんだろう。
満月の時だけ私達を強く照らし影を照らす。
その影は私達についてくる。
夜の影は昼間よりも濃く感じる。
髪が重く目にかかる。
大切な人の名前を月に呼んでみる。
月は星達と一緒に少し輝きを増す。
メラメラと燃える太陽は私達には眩しいが、
幽かな光で照らす月は程よく私達を包み込んでくれる。
不安も全て照らしてくれる。
室外機の音が頭の中に響いていた。