天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
白蛇族への償いとして、我が子のように月影を育てた。
そんな子を置いては行きたくない。
なにより延輝と離れたくはない。
私が!私が戦を終わらせなければ!
そう決心した蓬莱は月影が寝静まった後、兎月を置いて宮をでた。
「延輝…」
今、会いに行くわ。
争いの中心である戦場は天女にとっては1番の毒だ。
翼が瞬く間に黒く染まった。
「蓬莱!」
「延輝!!」
戦場の中心で再会した二人は強く抱きしめあった。
「なぜ、ここにいる!天女の身で戦場に来るなど!…それにその翼はどうしたのだ!?」
すぐに心配してくれる延輝が愛しい。
私の病のことを知ったら、きっと悲しむわね。
「私よりも、あなたが心配よ…こんなにやつれて」
いくら鬼神の延輝といえどこの長続きする戦で疲労は隠せていなかった。