天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
延輝の涙を拭いながら答える。
「…どんな傷を負った時よりも痛い。心が痛い。蓬莱」
「まだ完全に黒くなっていないわ。これから皆が心を改めてくれるのなら私は生きられるわ」
「…私が必ずそうして見せる。天界に帰ろう」
延輝の言葉にうなずき天界に帰ろうとしたところ魔帝に呼び止められた。
「蓬莱」
「…魔帝」
「蓬莱…私の気持ちにはもう気づいているだろう」
「ええ。そしてこの戦を仕掛けた理由もわかっているわ…でも、あなたの気持ちには応えられない」
魔帝の気持ちはわかるが私の愛する人は延輝ただ一人なのだ。
「延輝、行きましょう」
「待て!」