天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~


羅刹がおずおずと近づいてきて姿を見せた。


このような森に独りでいてずっと寂しかったはずだ。


「あなたは人々の呪いから生まれた…でもその心は純粋だわ。姿形が重要ではないのよ」

「天女様…なんと慈悲深い…」


このような姿になりたくてなったわけではないはず…。皆が望みそれを羅刹が叶える…それでしかこの呪神は姿を保てないのだ。


「っ!」

「天女様!!」


魔帝の攻撃により翼は残り一枚を除いて完全に黒くなった。


「羅刹…お願いがあるの。どんな対価でも構わないわ。お腹の子を助けてほしいの」

「天女様の願いならば対価は必要ありません」



< 109 / 255 >

この作品をシェア

pagetop