天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
白蘭が人間になったとして天界に行くことはあっても、今後魔界に来ることはもう無いのだ。
叶わない想いは月影ではなく自分だった。
「はははっ」
白蘭が生きていて嬉しい。だが、同時に苦しい。
涙を流しながら笑う紅蓮を見て、本気で心配した朱雀がまたも声をかけた。
「紅蓮様。人間界で何があったのですか?」
「…いたのだ」
「誰が?」
「…白蘭が…生きていたのだ」
「まさかっ!本当ですか!?良かった!本当に良かった!ではすぐに迎えに行きます!」
今すぐにでも探しに行きそうになる朱雀を止めた。
「待て。いいんだ。白蘭は記憶をなくし今は魔界のことを何も知らない。このまま知らない方がいい」
「なぜですか!?」