天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~


裂けた衣を脱ぎ着替えると沈んだ気持ちのまま紅蓮は人間界に向かった。


魔界と人間界では時間の流れが違う。人間界は既に夜だ。


白蘭の家にいき遠くから見つめる。家には明かりがともっていた。いつものように無事を確かめたらすぐに去ろうと思った。


だが今日は月影がいないようだ。


盗賊がきたら大変だ。夜が明けるまでいよう。


そう思った紅蓮は離れたところから家を守った。


途中、雨が降ってきて黒い衣を濡らしたが微動だにせず家を見守った。


人間界では法術も使えず雨に濡れ続けたせいで紅蓮は鳳凰の体を震わした。


それでも見守るのを止めなかった。


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