天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~


「ところで先ほど言っていた鳥族の侍女というのは…」

「最近、鳥族の侍女が行方不明になっているのです。皆、炎狐族の者に呼ばれたきり帰ってこないんだとか」

「そうですか」


先ほどの血の匂いを思い出した。


何があって鳥族を狙うのかはわからないが、あれだけの血の匂いはおそらく玲心が関わっている。


「朱雀。あなたも鳥族なのですから気を付けて。ところで紅蓮様はどうです?」

「…今は白蘭を想い人間界にいたいようです」

「そうですか。少しずつですが心を取り戻しているようですね…」


雪梨は少し安堵したような表情を見せた。


乳母としてやはり心配なのだ。


朱雀も雪梨も香林も白蘭と親しかった仲だ。


特に三人は白蘭の見舞いにもまともに行けず亡くしたため、より後悔と喪失感があった。


しかし三人で慰めあうことによって、やっと立ち直ってきたところだった。


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