天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~


親しかった私達ですら、このざまなのだ。愛する者を失った紅蓮様はどれほど心を痛めたことか…。


少しずつでいい。立ち直ってほしい。


そう朱雀は思っていた。


三人はいつも通り悲しく笑いそれぞれの業務に戻った。


白蘭が死んでから朱雀は一人であることを調べていた。


なぜ白蘭が死んだ日、薬師神は姿を消したのか。忘却湖の衛兵達はどこに消えたのか。


一度は白蘭を幻覚獣の間で殺そうとした玲心がなぜ紅蓮様に呪神羅刹を教えたのか。


ここ数年ずっと不審に思い調べていた。


こうも都合よく白蘭が自死するのか。少なくとも私の知っている白蘭は病気で苦しくも自死を選ぶような弱い者ではない。


そして鼻の良い朱雀が見つけたのは白蘭の宮にあった香だ。


こんな強い香は魔都には売っていない。


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