天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
「父上、義母上にご挨拶を」
その穏やかな声とは裏腹に心は憎しみや復讐心が燃え盛っていた。
「此度、呼んだのはなぜかわかるか?」
「はい。記憶水晶の間に入りました」
言うとピクリと天后の眉が動いた。
「何をしに行った。何を見た」
「ああ…」
月影は袖下で密かに法術を使い兎月の物を呼び寄せると天后に見せた。
「従者の兎月が最近無くしものをしたそうで人間界にいる私に泣きついてきたのです。」
「なぜ、すぐに呼んでもこなかった」
「記憶水晶で見る前に兎月の無くしものは見つかりましたし…それに私は今、人間界で薬師をしているのです。病人を置いては天界にいけません」