天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
いつも通りに善良な月影に天帝と天后は満足したようだった。
「そうか。そなたは善良であるな」
「恐れ入ります…父上」
「やはり、兄上は素晴らしい人です!」
何も知らない氷輪も今の月影には憎く思えた。
「では、私は失礼します」
礼をし天帝と天后に背を向けた瞬間、月影の作り笑いは消え失せた。
…殺してやる。お前たちは母上を、一族を、天女様を殺した。
私が必ず殺してやる。
静かに天宮を去り自分の宮に戻った。
「月影様」