天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
月影の献身的な支えのおかげですぐに一人で歩けるようになった。
「白蘭。まだ街に行っては危ない。退屈だろうがここにいてくれ」
「わかったわ」
記憶がなくても二人で暮らすうちに月影に心を開き始めた白蘭。
いまだに魔界だとか天界だとかは全然実感がわかないけれど、月影が天界の人だということだけは妙に納得がいく。
「ほんと月影って綺麗な顔をしているわよね」
二人で食事をしているときに、ふと言うと月影は顔を赤くして照れた。
「…あまり見つめないでくれ」
「ふふっ」
月影は善良だった。毎日手のかかる私のことを面倒みてくれて一度も怒ったことがない。
いつも笑いかけてくれる。まるで水のように穏やかな人だ。
「洗い物くらい私がするわよ」
「いや。私がやろう。今、茶を淹れるから座っていてくれ」
「月影。なんであなたそんなに良い人なのよ!私がやるから座っていて」
半分強制的に座らせ私が洗い物をすますと月影は窓際で月を眺めていた。