天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
「本当かしら」
「…」
力仕事でここまでの人気とは…。妓楼の護衛や歌舞伎茶屋で剣舞をしていたらどれだけ騒ぎになったことか。
ため息をつくと木蓮さんが慌てて訂正した。
「だ、大丈夫よ。白蘭。紅蓮は想い人がいるみたいで告白されても全て断っているんですって!想い人ってきっと白蘭の事よ」
違う。紅蓮は奥さんのことが好きなんだもん…。
私の事なんてただの旧友だとしか思っていないんだわ。
どれだけ私が胸を高鳴らせても紅蓮は余裕そうだもの。
「ちょっと自信持ちなさいよ!」
「帰る…ごちそうさまでした」
すっかり落ち込んだ白蘭は食事代を置くと店を後にした。
月影がいなくなってから三か月…もし彼が帰ってきたら紅蓮を追い出すのだろうか。そしてもう二度と会えないのだろうか。
月影は確かに私を助けてくれた。
だからそんな彼の期待に応えたくて許婚も拒否しなかった。