天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~


「…白蘭にはすでに許婚がいるぞ」


一睨みしてから答えると男は肩を落とした。


「だよなあ」

「俺なんか相手にされないか…仕方ない。木蓮に誰か見つけてもらおう…」


その後も仕事をこなし、今日は酒を買って帰った。


白蘭が酒好きと言ったからだ。


確かに後宮入りした日の宴では二日酔いになるほど飲んでいたが、人間界でもそうだとは知らなかった。


家に入ると食事を作っていた白蘭が顔をあげ笑った。


「おかえりなさい。紅蓮」

「あぁ」


白蘭のまぶしい笑顔を向けられ自然と紅蓮も笑顔になった。


そうだ。この笑顔を守るためなら私は何でも出来るのだ。



< 172 / 255 >

この作品をシェア

pagetop