天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
当時の事を思い出したのか朱華は涙ぐんだ。
やはり明明と朱華が仲が良いとのことは本当のようだな。
「安心しろ。私も八咫烏一族は潔白だと信じている」
言うと朱華はこらえていた涙を流した。きっと友として明明の一族は潔白だと信じていたのだろうが魔宮の侍女としてはそんなことは決して口に出してはいけない。
我慢していたのだろう。ひとしきり泣くと朱華は堰をきったように話し出した。
「八咫烏一族が無罪だと信じていました。でもそんなことは魔宮の侍女の私が主張したところで何も変わりませんっ。明明は結局亡くなり、だから私は彼女の願いを叶えようと白蘭様にお仕えしようとしたのですっ」
「では白蘭の侍女だったのか?」
「いいえっ。八咫烏一族が亡くなって私はすぐにお仕えしようと後宮に向かったのですが白蘭様の側には玲心様がいました…私は怖くてっ…近づけませんでしたっ」
白蘭の側に玲心が…?
「そうか…そなたは十分よくやった。」
朱華の肩をたたき慰めると少し落ち着いた。