天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
やはり…玲心だった。
おそらく病になった白蘭を油断させ香で思考を奪い忘却湖の衛兵達を除いたあと、白蘭を自死に見せかけ殺した。
なんと悪辣なことか…。
それに魔后も協力しているとは…。
侍女たちを口封じし…薬師神を殺すことも神籍剥奪も出来ず、やむ無くどこかに監禁しているはずだ。
神籍のある神を監禁するとは大罪だぞ…そんなことにまで玲心はついに手を出したのだ。
事の重大さに気づいた朱雀はすぐに朱華に向き直り真剣な顔で話した。
「今の話は誰にも言ってはならない。もし言えばそなたの命が危うくなるやもしれん。誰かに聞かれたら明明の事を語ったとだけ言うんだ。よいな?」
朱華は首を何度も縦に振った。
こうしてはいられない。
確たる証拠をつかむべく朱雀は玲心の元に密かに向かった。