天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
「何か心配ごとでも?」
事は上手く運んでいるのに晴れやかそうでない顔の月影に気鋭は声をかけた。
「いや、白蘭を案じていた」
天界にきてからは忙しくて白蘭に会いに行けそうもない。
月影は顔の見れない彼女を心配していた。
すでに白豹族には白蘭の事を伝えてある。
「白蘭様ですか…。やはり予定よりも早く天界にお呼びするのですか?」
「いや。それはない」
白蘭が天女の子だと聞いた白豹族は月影を天帝にするため白蘭を利用するような計画を提案していた。
記憶水晶の間での真実を告げ白蘭と婚姻を済ませば、このような遠回りな方法でなくとも天帝の座に就くことが出来る。
だが、月影は頑なにその計画を拒否した。
天界の争いに白蘭を巻き込みたくはない。
すべてが済み己の力で天帝の座を掴み取ったあと白蘭をこちらに迎えたい。
それに婚姻は時間をかけて二人で話合い決めていきたいのだ。