天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
天女を殺したとされ天帝の名声は地に落ちた。
今の天帝はお飾りで実権を握っているのは天后だ。
だが、天帝は謀反を一番に恐れている。
この不正の数々を知ったら天帝はどうするだろうか。謀反とみなすだろうか。
お飾りとはいえ天界の天帝だ。どのように対応するのか見ものだな。
月影は密かに笑みを深めた。
「明日、水狐族の住居に雷獣を放て。天后を天宮に近づけるな」
「かしこまりました。月影様」
この一件が無事に終われば白蘭の羽を取りに行こうと月影は思った。
「もう休む。下がってくれ」
「はい。月影様」
寝床に横になり窓から見える月をいつものように眺めた。
幼い頃から月を眺めるのが好きだった。
太陽はまぶしすぎて眺め続けられない。それと違い、月はいつまでも眺められるから好きだ。
「白蘭…元気にしているだろうか」
本当は天帝の座などどうでもよい。だが、白蘭と平和に過ごすには天帝の座は必要なのだ。
せわしない日々の中で白蘭と過ごすということだけが唯一の光だった。
静かに月影は瞼を閉じ疲れた心と体を癒した。