天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
薄暗い部屋の中、訴えたが無駄だった。
なんて勝手なの!
仕方がないので部屋の中に向き合う。豪華な部屋の寝床に一人の女の人が眠っていた。
もしかしてあの方が貴妃様なの?
近づくと薄暗い中でもわかるほどの美貌の持ち主だった。
青白い顔をして呼吸は薄い。重体というのは本当のようだ。
試しに脈を診てみたが、やはり知識の薄い白蘭にはわからない。
「ごめんなさい…貴妃様。私には助けられそうにないわ…」
それにしてもいくら原因不明の病だからといってこんな締め切った暗い部屋で誰一人寄り付かないなんて…。
あまりにも酷いわ…。
目の前で苦しむ貴妃に対し同情した白蘭は月影を呼ぼうと決心し手首にある腕輪を千切ろうとした。
が、手首に腕輪はなかった。
手枷をつけられたときに落としたのだ。