天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
次の日、白蘭は藁の寝床で目を覚ました。
ここには私しか囚われていない。他の医者というのはまだこれから来るのだろうか。
どちらにせよすぐには殺されないで済む。
どうしたらいいのか白蘭は色々と考えを巡らせたが答えは出なかった。
「ここだ。ここに入れ」
牢の外から人の気配がし体がこわばる。新しい囚人だろうか。
牢の鍵が開き一人の男が手枷をつけたまま入ってきた。その人は私のよく知る人物だった。
「紅蓮!?なぜここに?」
「白蘭に会いに来た」
囚われの身のくせに紅蓮は美しく笑った。手枷で不自由ながらも白蘭をしっかりと抱きしめ無事を確認する。
「どこも怪我はしていないか?」
「ええ、大丈夫…紅蓮こそ怪我しているわ」
「ああ。大したことはない」
美しい顔には切り傷があり、暴力を受けたことは明白だった。