天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
「友ではない…妻だ」
「…え?」
「私とそなたは、かつて夫婦だった」
「どういうこと?」
月影に聞いた話と違う。月影はそんなこと一言も言っていなかった。それに出会ったとき紅蓮は友だと…。
「白蘭は魔界で身分が低く悲惨な目にあった。私と夫婦となった後も病気になり最終的に自死する道を選んだ」
私が自分で死ぬ道を選んだというの?信じられない
「私は白蘭が死んだと思い魔界で数年過ごした。そんな中、白蘭は人間となり記憶を失いあの街にいた。会った時、そなたと月影は許婚だった」
あれだけ悩み嫉妬していた人が自分だったというの?
「…でも月影は紅蓮に会うなって。私をかつて傷つけた奴の一人だからって言っていたわ」
「そうだ。私は白蘭の家族を守り切れず、そなたを正室にも入れることが出来なかった。無力な奴だ。月影がそういうのも無理はない」
自虐的に笑う紅蓮に心が痛んだ。