天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
書物で読んだ通りだ。
この水たまりに物を浮かべると、その物の記憶が見られる。
白蘭から借りた、紅蓮の羽を水に浮かべ私は中に映る記憶を覗いた。
紅蓮の二千年の記憶と白蘭との出会いや、二人が結ばれた日などが映し出される。
そして夕日に照らされ風切羽を渡すシーン。
ここから風切羽は白蘭と共に行動している。
魔気病になったことをはじめとし、一族の残虐された場面、苦しむ白蘭に近づく玲心、そして最後に忘却湖での出来事。
その、すべてを月影は知った。
それと同時に謎が解けた。
魔気病になったのは白蘭が天女の血を引くからだ。いままで発症しなかったのは頻繁に人間界に行っていたから。魔宮に留まる時間が増えたから発症したのだ。
あんなに大怪我をしたのは羽を斬られたから。そして忘却湖に飛び込んだことで記憶をなくし人間になった。
ただ一つだけ月影は気づいていた。白蘭は知らないが羽を斬ったのは紅蓮ではない。