天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
それに、あの黒い男は私を密かに守っているのだ。
前に馬にひかれそうになった時も急に馬が落ち着いたり、盗賊が現れた時もどこからか剣が飛んできて私を守った。
きっとあの男だわ。
なんの目的があって私のことを見守るのかしら。今日こそは本人の口から訳を聞いてやる!
薬を売り終わると私は人気のない川岸へと向かった。
耳を澄ますと密かについてくる音がする。
だが、後ろを振り返っても誰もいない。これは絶対に姿を見せない気ね。
剣を持っていたし、武術もある。剣士かしら?きっと相当の腕ね。
そこで私はわざと苦しむふりをした。
「うぅっ」
川辺にわざと倒れ込み胸を押さえた。