天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
「名前は?」
「…」
「名前は?ないの?じゃあ、名づけちゃおっかなー!仮面黒服男はどう?」
こんな顔のいい人に、仮面黒服男はないだろうと自分で言っておきながらふきだしてしまう。
「あははっ。さすがに名づけは無理だわ」
「…紅蓮」
「ん?」
「紅蓮だ」
…紅蓮。それがこの人の名前。
「…いい名前ね」
ふふっと笑うと紅蓮は目をそらした。
「私、記憶がないから聞きたいんだけど紅蓮は私のことを知ってるの?」
「…知らない」
「下手くそな嘘ね。私の名前知ってるくせに。」
目をのぞくとまた顔を背けられる。