天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
自分で言って自分で傷つく。なんで私こんなに悲しいんだろう。
彼の左頬から手を放そうとしたら、そっと紅蓮に握られた。
「…私も白蘭に聞きたいことが」
「なに?」
「…月影を愛しているのか?」
月影を?私が?
どう答えていいのかわからない。
黙っていると紅蓮に再度手を強く握られる。
「…月影と婚姻すると聞いた。それは本当か?」
「…ええ」
「そうか…」
スッと握っていた手を紅蓮は放した。
「…自分でも気持ちがわからないの。月影は私を助けてくれた。何年も何年も献身的に世話してくれた。だから、月影が望むなら婚姻してもいいのかなって…」
これが愛なのかは、わからない。でも月影には恩がある。
「…そろそろ帰れ。家のそばまで送る。」
紅蓮は私の話を聞くとすぐにそう言った。