天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
「白蘭、怪我をしている。どうした?」
「ちょっと転んだだけよ」
「…この布は?」
「ああ、親切な人が巻いてくれたの」
家に帰ると月影が、いつも以上に心配してすぐに薬を塗ってくれる。
『…月影を愛しているのか?』
薬を塗り私のことを自分よりも心配してくれる。月影はいい人だ。
そう。いい人。
こんないい人を裏切れるだろうか。
いや、裏切ることなどできない。
「まだ痛むか?」
「ううん。大丈夫よ」
紅蓮には奥さんがいるんだし、私には月影がいる。
それでいい。それでいいはずなのに…。
この胸の痛みは何なのだろう。