天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
慈悲深い天女はその神官がどれほど死を恐れているのか知り許した。
天女が向かった先は一つの洞穴だった。
薄暗く、そこが天界であると忘れるほど暗い場所だった。
「そこに誰かいるの?」
明かりを灯しながら中を進むと1人の男がいた。
それが鬼神・延輝(えんき)と天女・蓬莱(ほうらい)の出会いだった。
男は額に二本の角があり、すさまじい破壊力を感じた。
そして両手両足を鎖でつながれた状態で、まさに獣同等の扱いだった。
「あなたは誰?」
「…」
聞くも男は何も答えずしばらくこちらを見つめた。その瞳は力強い法術とは違い、どこまでも澄み切っていて純粋そのものだった。
しばらくすると男は私に近づき「延輝」とだけ言った。
「延輝?名前なの?」