天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
聞いても、言葉がわからないのか唸るだけだった。
「私が言葉を教えましょう。延輝」
数日も経つと延輝は人並みに話せるようになった。
「あなたの名前は、蓬莱」
「そう。延輝と蓬莱」
「ずっと一緒にいられる?蓬莱」
「いいえ。私は千年後には天に帰らないといけないの」
「そうか。寂しい」
延輝は天女の存在さえも知らないほど無知だった。
そして、たどたどしい言葉で一緒にいたいと繰り返した。
きっと今まで一人で過ごしたからだろう。言葉も覚えたし、手足の枷も外した。
これで生きていけるはず。そう思った蓬莱は次の場所に向かった。