天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
次に向かったのは魔界だった。
災厄が多くおこり不作続きで民は飢えていた。
「雪梨!皆に食べ物を分けに行こう!」
「はい!紅蓮様」
純白の翼で空を飛んで魔界へ向かう途中、小さな男の子と女性が魔都で配給をしているのを見かけた。
あのような小さな者でも慈悲の心があると思うと救いがいがある。
魔宮に降り立つとすぐに気配に気づいた者が声をかけてきた。
「そなたは何者だ」
「私は此度の天女としてまいりました」
「そうか…なんと美しい」
そういった男は、まさしく王になる器を持っていた。
それと同時に底知れぬ危険さも感じる。
「…あなたは?」
「申し遅れた。私はここ魔界の魔帝。天女にご挨拶を」
「ええ」
魔帝ということか。納得した。