天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
魔宮から魔界を見下ろし目を閉じ法術を使うと魔都をはじめとした様々な声が聞こえた。
多くは救いを求める声だ。
どこから救済しようかと考えていたところ突然、大きな音がして目を開けるとすぐ近くで八咫烏がひっくり返っていた。
「お前、どこの者だ!この場で一族もろとも始末してやる!」
魔帝が烏の羽を強引につかみかかったところを蓬莱は止めた。
「おやめなさい。私の前で殺生は許しません」
いうと魔帝は烏を不服そうに放した。床に乱暴に落とされた烏は震えるばかりだ。
哀れに思った蓬莱は烏を抱き上げた。
「魔界の八咫烏ですね。伝達鳥として来たのでしょう。私は天女・蓬莱。もう大丈夫です」
烏の羽を治してあげる。
「ありがとうございます!天女様!この御恩は必ず!」
空に放つと元気よく飛び立っていった。