天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
私の様子を満足げに笑うと魔帝は数日かけて宮に虹彩樹の庭を造った。
魔都はもう飢えを知らず、民もそれぞれの暮らしをはじめた。
そろそろ天界へと帰る時がきたわね。
「私は天界へ帰ります」
「待て。蓬莱。ここにいてはくれぬか?」
「…」
「私と共に生きよう!魔気病のことなら心配するな!呪神羅刹というものに頼めば何とかなる」
蓬莱は知っていた。魔帝が羅刹のところへ行っても対価を払えないことを。
この人は王の器だ。地位は決して手放せない。
炎狐族の者と婚姻を結んだのもすべて権力のためだとわかっていた。
「いいえ。私は天女。いずれは天に帰ります。あなたとはいられない」