天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
そして魔帝がつかむ腕をそっと放し天界へと帰った。
天宮へと帰る前に延輝に会おうと思った。
もう自由になったことだから、あの暗い洞窟にはいないだろう。しかし延輝の顔が見たかった。
洞窟の中に入るとなんと延輝がいた。
「蓬莱!来たのか」
「延輝…あなたなぜまたここに?」
暗い洞窟の中、やっと目が慣れたところで延輝の姿が目に入った。
出会った時と同様に手足を枷で封じられ、返り血を浴びていた。
それなのに澄んだ瞳で私を見ると嬉しそうに笑う延輝。
天界に降り立ってなぜ一番に延輝の場所に来たのか、やっとわかった。この世で一番不幸だからだ。