天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~



「延輝。いままで食事はどうしていたの?」

「戦に出て洞窟で鎖につながれると食事がもらえるんだ」

「そう…」

「私も聞いてもいいか?蓬莱」

「ええ」

「なぜ私を怖がらないのだ?」

「なぜって…」

「皆、私のこの角を見ると怖がって近づいてこない。魔界の者ですら私を恐れているようだった」


天界の者が、どれだけ延輝に非情だったのか蓬莱は悟った。


「あなたがどのような姿でも恐れたりしないわ。だってこんなに瞳が澄み切っているんだもの」


延輝は屈託のない笑顔を見せる。

そう。延輝はどこまでも純粋。

このような人をどうしたら恐れられるのだろうか。

それから天界や人間界を延輝に見せた。

天界の者は延輝が洞窟から出たと知ると恐れたが私と一緒にいるのを見ると誰も文句を言わなかった。



< 85 / 255 >

この作品をシェア

pagetop