天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~
そうして月影とその母親が去った後、延輝が言った。
「…天女様にご挨拶を」
「ふふっ」
意味もわからず、あの二人の真似をしているのね。
「延輝。あなたはいいのよ」
「でも、みんな蓬莱に会うとこうやってる」
「私は天女だからよ」
「天女?蓬莱は蓬莱だ」
「ふふっ。そうね」
誰もそんなことを言ったことはなかった。
私は天女で世界を豊かにしたあと天に帰る。
皆も私もそれが当然のことだと思っていた。
私を天女ではなく名前で呼ぶのも、一人の人として扱ってくれるのも延輝だけだ。
毎日延輝と過ごすうちに蓬莱は延輝を愛するようになった。
そして延輝もまた蓬莱を愛するようになった。