今宵、彗星
第一章 彗、彗、宵
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第一章 彗、彗、宵
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ー臼井彗(ウスイ ケイ)ー
まだ5分、まだ5分と、1時間前と全く同じ反応をしてくる脳みそを無理やり起動させて体を起こす。今日もしょうも懲りずに来ましたか、朝。
顔を洗って、歯を磨いて、朝ごはんを食べて、ここまではいい。
テレビに出るとかでは無くったって身嗜みにはきちんと気を配らなければいけないことは知っている。
ご飯が生きるために必要だという事も知っている。
しかしここからが問題だった。
僕は制服が嫌いだ。
制服を着ていると否が応でも自分は「男」だと思い知らされるから。
自分の前を元気よく通り過ぎる女生徒のスカートが揺れるたび、羨ましいと思ってしまうから。
「お母さん、制服、スカートがいい」
なんて、言えないし。
「お母さん、僕は私が良かった」
とも、言えないし。
もしも言ってしまったらどんな顔をされるだろうか。意外と優しくしてくれるのかもしれない。
でも僕にとってはその優しさがいちばん痛くて、怖い。
第一章 彗、彗、宵
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ー臼井彗(ウスイ ケイ)ー
まだ5分、まだ5分と、1時間前と全く同じ反応をしてくる脳みそを無理やり起動させて体を起こす。今日もしょうも懲りずに来ましたか、朝。
顔を洗って、歯を磨いて、朝ごはんを食べて、ここまではいい。
テレビに出るとかでは無くったって身嗜みにはきちんと気を配らなければいけないことは知っている。
ご飯が生きるために必要だという事も知っている。
しかしここからが問題だった。
僕は制服が嫌いだ。
制服を着ていると否が応でも自分は「男」だと思い知らされるから。
自分の前を元気よく通り過ぎる女生徒のスカートが揺れるたび、羨ましいと思ってしまうから。
「お母さん、制服、スカートがいい」
なんて、言えないし。
「お母さん、僕は私が良かった」
とも、言えないし。
もしも言ってしまったらどんな顔をされるだろうか。意外と優しくしてくれるのかもしれない。
でも僕にとってはその優しさがいちばん痛くて、怖い。
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