惹かれたのは強く、眩しい子で。
さっきの強い視線とは違う優しさに満ち溢れた表情にまた胸が動く。
その子の周りは温かい空間に見えた。
『エルシー様、そろそろお戻りにならないと。』
ハッとし、慌てて視線を逸らす。
頬が熱くなっているのを感じながら、恥ずかしさを隠すように早足で戻る。
それからというもの、王子は数ヶ月に一度、この孤児院を訪れるようになった。
自分でも何がそうさせているのか分かっていない。
王は王子のこの行動を嬉しく感じており、好きなようにさせている。
毎回王都で人気の菓子を手土産に訪れるエルシー
数も子どもの人数分、いや、その倍ぐらいの数を用意している。
それを全く好きになれない施設長に託し、外で遊んでいるという子ども達を眺めるのが毎回の流れになっていた。