惹かれたのは強く、眩しい子で。
『毎回ありがとうございます王子。王子が来てくださり、あの子たちも喜んでいます。』
施設長の話など毎回耳に入らないエルシーは、いつも真っ先に1人の女の子を探している。
…今日は、男に混ざって遊んでいるようだ。
何度も訪れて分かったことは、あの子は子どもの中でも中心人物らしいということ。
小さい子のお世話をしている姿や、初めて見た時のように男の子に注意している姿をよく見かけていた。
今日も元気そうだ。
それが確認できると、未だに1人で話してる施設長に帰ることを告げる。
『ありがとうございました。寄付までしていただいて。どう、感謝申し上げれば良いか……。』
『子ども達の生活を守ってくれればそれで良い。』
恭しく頭を下げるのを背に足早に馬車へ乗り込む。
そして、外から一瞬だけ見える塀の向こうの子ども達の中にあの子を探して、馬車のカーテンを閉める。