惹かれたのは強く、眩しい子で。



何しに来ているんだろうと毎回思っていた。




私たちと遊ぶ訳でもない、施設長たちと親しげに話してる訳でもない。


ただ少し外を眺めて、さっさと帰って行く。

意味の分からない子だけど、あの子がたまに来てくれるおかげで私たちは外で遊ぶことができた。



普段、外に出れることなんて全くない。
狭い部屋にぎゅうぎゅうで閉じこめられ、1日出られないことがほとんど。



たまに出られた時はご飯をもらえる時
でも人数分あることはまずなくて、小さい子優先で分け合っていた。




『美味しい?良かったねぇ。』

ここには物心ついた時にはいて、私も昔は年上のお姉ちゃんたちからこうして食料を譲ってもらっていた。




お姉ちゃんたちが施設から出て行く時、

『ミア、辛くない時はないと思う。ちびちゃん達を守るのは当たり前だけど、ミア自身も大切にしてね。』


強い眼差しでそう言われた。

でも私は、この子たちが元気でいてくれれば、それで良いと思うようになった。





私ひとりの犠牲でたくさんの子が守れるなら。






音の鳴りそうなお腹を押さえて我慢し、美味しいそうに頬張る子たちを見て幸せを感じていた。



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