【短編】貴方だけを愛しています
「親父、俺たち帰るなー」



「は?」



「この話が終わるまで居なさい!;;」



「何で。俺ら断ったし、良いだろ。後はお若い2人、3人でって話。俺らは橘に会いに行く!」



席を立ち、コートを頼むと、店員さんがすぐに持って来てくれる。

自分のチェスターコートを羽織ると、マフラーが巻かれる。

実は寒がりなたっちゃんにコートを着させ、身を寄せ合って出入り口へと足を向ける。



「Let’s go!」



お父さんとお母さんに声を掛けてたお兄様が来て、コートを羽織りながら駆け足で飛び出して行く。



「「将也!;;」」



呆れてるお父さんとお母さんに、帰ったら怒られるのは間違いないとわかるも、今は橘さんの料理が食べたい。

床に敷かれた絨毯にヒールが取られないよう、注意しながらも、私もたっちゃんと急ぎ足でお兄様を追う。



「寒っ!;;」



外に出ると、私よりも先に冷気に身を縮めるお兄様は、回された車の後部座席へと飛び込む。



「一旦、帰ろう!俺、凍死する!煙草忘れて、ニコチン切れた!」



「ガキかよ;;」



叫くお兄様にたっちゃんは呆れ、帰り道にあるタチバナを通り過ぎて自宅へと車を走らせる。
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