【短編】貴方だけを愛しています
面倒な2人に“普通”と告げて、カウンターの隅に並ぶ日本酒の1本を手に取る。

カウンター内に腕を伸ばし、許可を貰う事なく、当たり前のようにグラスを取り、日本酒を注いで一口。



「見た目の割にかな」



大人の女性が好みそうなデザインラベル。

しかし、ガッツリ日本酒の為、たっちゃんにグラスを押し付けて、いつものフルーティーな味わいの日本酒を新しいグラスに注ぐ。



「お茶代わりに日本酒呑む女はモテねぇぞ」



「たっちゃん以外、別に良い。何でモテないといけないの?同じ事ばかり、聞き飽きた」



「じゃあ達也は、飲兵衛な彼女でも良いって言ってんだな」



「……知らない……」



「どうなんだ?達也」



「嫌だったら、結婚宣言なんか出来るか」



「やっぱり、たっちゃんは優しい。お兄様の友達なだけあって、橘さんも意地悪!」



「タダで酒呑んどいてなんだよ!」



「いらないって言ったのは、誰ですか?」



「俺だ……;;」



「有難く、頂きまーす」



「俺はなー……」



「自分で取れ;;」



「つまみ適当に」



「……いつも試食で終わんねぇな;;」



…それもお目当てで呼んでるくせに!




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