【短編】貴方だけを愛しています
「寒いし、昨日の雪が残ってるから、気を付けるのよ」
「うん。行って来ます」
朝7時00分、勤務するこの地域で一番大きい総合病院へと出勤する為、日勤の時は誰よりも早く家を出る。
ましてや今日は日曜日。
お母さん以外は、まだ起きてすら居ない。
就職の時に買って貰ったキックスへと乗り込み、残雪や凍結に気を付けながら山を下り、病院へ。
車社会の田舎。
職員駐車場は埋まって居て、1年目の私に回って来る筈もなく、近くにあるお父さんの会社駐車場へと停め、そこから5分ほど歩く。
「おはようございます」
敷地内に入ると、すれ違う職員さんたちへと挨拶しながら、更衣室へと行き、配属部署の小児科看護師の証ともなるピンクのスクラブと、紺色のパンツへと着替える。
ヒートシャツだけで賄えない寒さに、パンツと同じ色のカーディガンを羽織り、貴重品を手に病棟へと上がる。
病棟スタッフ詰所により、貴重品をロッカーへとしまい、聴診器をスクラブのポケットへと入れ、アルコールやハサミ、必需品が入ったナースを腰に巻いてナースステーションへと行く。
先輩方に挨拶し、申し送りに備える。
「おはようございます」
主任が来て、夜勤メンバーと申し送り。
研修は一応、終了。
日勤も夜勤も独り立ちしており、担当の患者さんへの挨拶を、1人で回る。