【短編】貴方だけを愛しています
「どうだった?」



「良いって」



「そっか。葉山さんは優秀だもんね」



プリントアウトした看護計画表をバインダーへと挟んでると、同期の飯田ーイイダーさんが声を掛けて来た。

看護大学が違う為、共に1年近く働いて居てもプライベートでの絡みはほとんどない為、淡々と会話をして、夜勤への引き継ぎ準備に入る。

飯田さんは小児科配属の新人では、成績は最下位。

夜勤業務の独り立ちも昨年末で、あまり絡んでは巻き込み事故もあるかも知れないと、プリセプターをしてくれた茅ーカヤー先輩から、距離を保つようにも言われてる。



「お疲れ様。どうだった?」



「おはようございます。看護計画、了承貰えました」



「うん。良いじゃない!」



日勤の終わる16時まで後30分。

出勤して来た準夜勤シフトの茅先輩が声を掛けて来た。

看護計画表を見せると、先輩からもお褒めの言葉を貰えた。

茅先輩は初めてのプリセプターに張り切ってはいるものの、有難いほど多くを学ばせてくれた。

優秀で優しい先輩に付けて、忙しいけれど、辞めたいと思った事は一度もない。

申し送りを済ませ、新人の私は残業なくナースステーションを去る。
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