【短編】貴方だけを愛しています
たっちゃんの胸へと飛び込むと、お互いに冷えた身体が温められる。

薄暗くなり、街灯が点いた駐車場。

距離を取らされた身体に風を感じてると、唇が重なる。



「ちょっ……!;;」



「初めてだったな;;」



「ゆっくり、じゃないと……っ;;」



いきなり荒々しくキスしようとしたたっちゃん。

すぐに顔を背けると、気付いてくれた。

でも、これでおしまいも嫌だと、ゆっくりでお願いすると、頷いてくれる。

頬を包まれて再び唇が重ねられると、優しく下唇が吸い上げられる。

歯列を撫でる舌が、隙間にねじ込まれる。

触れ合う舌先。

反射的に逃げるも、追い掛けられ、絡み合う。




「……恥ずかしいっ」



「可愛いな」



「言わないで!;;」



唇が離れ、胸に顔を埋めると、耳元で言われ、背を叩きながら抗議。



「帰るか」



「うん」



何も言わなくても運転席に回るたっちゃん。

助手席側で解錠し、そのまま乗り込む。



「晩ご飯、何だろうね」



「俺は唯来で良い」



「ダメ!;;私に栄養はない!;;」



「飯食ったら良いのか?」



「案外、意地悪……っ;;」



他愛ない話を振ると、足に触れながら、やらしい事を言って来る。

手を退かしながら抵抗するも、止まらないたっちゃん。
< 25 / 88 >

この作品をシェア

pagetop