【短編】貴方だけを愛しています
拗ねたフリをしてると、目が合う為頷くと、頭が撫でられ、車が発進。



「意地悪な俺、嫌だったか?」



「どんなたっちゃんも、好きっ」



「俺も」



自宅へと続く道の最後の信号。

顎ラインを撫でられ、触れるだけのキス。

後はノンストップで山道を進み、山の中にはそぐわない海外のお城のような家に到着。



「ただいまー」



帰宅したら、すぐ手洗いうがい。

階段に鞄やコートを置いてリビングダイニングに行けば、晩ご飯の用意はされて居た。



「おかえりー」



「何してるの?;;」



「スライム」



「はい?;;」



お母さんたちより先に返事をくれた将也お兄様。

絨毯に直接座り、何かしてると思えば、スライムをグニュグニュと握ってる。



「来未が俺と結婚したいだと」



「……えっ?的渕さんとじゃなかった?」



「何があったかよくわかんねぇけど、咲来が寝取ったらしい。あの男はすげぇ。双子ってだけで抱けたぞ」



「“すげぇ”って……;;」



「俺でも好きな女と似てるってだけでやらねぇし。達也の顔見てみ?笑わずドン引ぃてんぞ」



「汚らわしいわ」



「…………」



二卵性と言えど、双子。

双子と言えど、二卵性。

まさか咲来がと思うものの、私と真逆と考えれば……。
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